⭐ガイドさんは天使⭐
昨年のことです。
ある夕方、私の病院にY旅行社から電話がありました。
「犬を保護したのでどうにかならないだろうか?」と。
犬はけがをしているようで、そしてその犬はもうこちらへ向かっているとのこと。
飼い主ではなくともけがをしているのであれば断れません。
しばらくして病院の前に観光バスが止まり、中から犬を抱えた若いバスガイドさんが降りてきました。
犬は足からたくさんの血を流し横になったまま身じろぎもしません。
ガイドさんの制服は胸元から固まった血で汚れていました。
きっとずっと抱いていたのでしょ う。
さいわい犬は一命を取りとめましたが、足にけがをしています。
そして私の脳裏には困惑がよぎりました、さてこの犬をどうしたらいいのだろう・・・。
犬は雑種の老犬でやせこけ、とても新しい飼い主さんが見つかりそうに思えませんし、保護センター行きのその後 の始末を私は知っています。
するとバスガイドさんが「先生、私が責任を持って飼います。
費用も払いますのでけがを治してください!」ときっぱり言ったのです。
犬を保護した事情を聴きますと、ツアー客をバスで連れている途中、道路の端でうずくまっている犬をガイドさんが見つけ、運転手さんがバスを止めて犬を乗せ、それから目的地で客を降ろしてからまっすぐ病院に来たというのです。
数日後、この老犬が自力でごはんを食べるようになったころ、偶然にも飼い主が見つかったのです。
飼い主が迎えに来ましたが、よそよそしい感じ。
老犬はとぼとぼと歩いて帰りました、私にはその後ろ姿は何となく不満げに映りました。
仕事中にもかかわらず、また、服が血で汚れてもこの犬を助けたい、そして最後まで責任を持ちますと言った二十代のバスガイドさん。
あなたは天使です。
❤️🥰❤️
(斉藤聡=札幌・石山通り動物病院院長)
2001/06/13(水) 北海道新聞夕刊 掲載
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