動物の世界には母子の愛情物語があります。
カルガモ親子の小さなお引っ越しはとてもほのぼのとしています。
ヒバリは巣の卵やひなを守るため自分の何倍もの大きさのあるトンビに果敢に向かっていきます。
どちらも命を懸けた行為です。
陸上の動物だけでなく、水中で暮らす動物にもとても母性愛の強い生き物がいます。
その一つがイルカです。🐬💫
イルカはヒトと同じほ乳類ですから、赤ちゃんは親と同じ姿で生まれてきます。
ただしヒトと違い、生まれてくるときに頭からではなく、しっぽの方から出 てきます。
赤ちゃんイルカは生まれてすぐに呼吸をする必要があり、水面に向かって泳ぎ出すのですが、そのとき逆児(さかご)で出てきた方が好都合だからです。
産後、母イルカは赤ちゃんイルカにぴったりと寄り添い、泳ぎを手助けします。
しかし中には死産の子もいるのです。
そんなときでも母イルカは、子供が死んでいるのを知ってか知らずか、口の先で一生懸命に水面の方向に向かっていとおしげに誘導するのです。
その行為は子供の体がある限り何日も続きます。
母イルカはえさも食べず、子供を生き返らせようと努力して片時も離れません。
他の動物が近づくと子供をとられまいとしてかばい、最後には自分も衰弱して死んでしまいます。
海には死んだ赤ちゃんイルカのそばに、やせた母イルカの亡きがらがあることでしょう。
この母イルカの行動を本能という言葉で片づけてしまっては味気なさすぎます。
もし母イルカに両手があれば死んだ子供をずーっと抱きかかえていることでしょう。
この慈愛に満ちた行為は聖母マリアと重なって映りますが、あなたの目にはどう映るのでしょうか?💝🐬
(斉藤聡=札幌・石山通り動物病院院長)
2001/11/28 (水) 北海道新聞夕刊 掲載
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