
ある日のこと、我が家のウサギさんの首が90度くらい曲がったままになりました。体は問題なく目は普通に見えているようです。牧草やペレットは普通に食べられますが、首は曲がったままで食べています。いったいこれはどうしたのでしょうか?
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ウサギさんがある日突然、何の前触れもなく首が曲がるという病気があります。この病気の原因は首の骨に異常があったり、首の筋肉の拘縮の場合もありますが、ウサギさんの場合ではほとんどが脳に関連した病気です。
皆さんは目をつぶっていてもご自分の頭が水平だったり、回転している事はわかると思います。どうしてわかるかというと両耳の奥には前庭という部分があり、この装置が脳に頭の位置情報を送っているからです。
ウサギさんの首が曲がっている状態を「斜頸」と言います。首が曲がっているのか、頭が傾いているのか正確には異なりますが、ここでは首曲がりといたします。 首曲がりには様々な原因があり、通称日本語名ではすべて斜頸と呼ばれています。
どんな病気ですか?
首が曲がっていてもウサギさんから見た視覚では、真っすぐに見えていると思われます。ということはウサギさんからは、曲がっているのは私たちのほうです。
症状の程度によっては天地がさかさまになるほど首が曲がることもあります。たぶん多少エサは食べづらいかもしれません。
痛みはありませんので、首が凝っているわけではありません。
症状は脳の病変部位により異なり、立てなく横臥位になると下の体側に床ずれが起きやすくなります。
中耳炎の場合では炎症のある側が下方に曲がり、前庭障害と言います。前庭は鼓室胞という耳の奥の骨の部分にあります。 この部位に何らかの異常が片側に起こると、同側の首が曲がります。
大脳に腫瘍や炎症があると対側の首が曲がります。
目の病気により首が曲がることもあります。これは若齢性に多く視力に関係なく、眼球奥の筋肉の異常から起こります。
主な原因は何ですか?
ウサギさんの首曲がりでは、首や目の病気が原因のことは少なく、ほとんどが脳内の病変によるものです。多くは腫瘍ではなく病原体による感染症が原因です。
脳の中に何かの感染が起きて膿瘍という病巣を作ることにより、その周囲の脳細胞が障害されることで症状が出ます。 傷害された部位により症状はさまざまで、目が飛び出たように見えることもあります。
感染源はパスツレラ菌などの細菌や、エンセファリトゾーン(略してEZ)という原虫によることが多いです。
検査や治療法はありますか?
症状でも診断はつきやすいですが、ほかの異常を検査するために、頭部のレントゲン撮影、血液検査、神経学的検査、目の検査、抗体検査、そのほかに麻酔下でのCTやMRI画像検査があります。
もし診断されても、細菌感染とEZの区別はつきにくいですが、それぞれに効果のある治療薬があります。
治療経過はどうでしょうか?
脳の病気は残念ながら予測が難しいです。短期間または突然死することもあるのです。EZと診断治療している子の経過をみると、斜頸が治ることも多く、もし斜頸のままでも補助給餌で数カ月から年単位で生存することもあります。
完治という表現は当てはまらないかもしれませんが、症状が収まっても治療薬を継続して投与することをお勧めいたします。