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ミーアキャットの飼い主さんへ・・・ミーアの心臓病

ミーアキャットは、ペットとしての歴史はまだ浅くまた、国内の動物園でも今までどのような病気があったのか、ほとんどわかっていませんでした。

最近、ペットとして個人で飼育や繁殖をする方が増えて、ミーアキャットの可愛さや飼育の難しさもわかりながら、飼育者は正しい飼育方法を手探りで模索しています。また、少数の獣医師によりいくつかの好発疾患が報告されてきました。

以前から私がミーアの飼い主さんに注意喚起していたのは、尿路結石症でしたが、エサの選択指導が功を奏したのか、最近はこの病気は少なくなってきました。 そして、もっとも怖い病気としてお知らせしていたのが心臓病です。心臓病というと高齢になると発症すると思うかもしれませんが、ミーアの心臓病とは拡張型心筋症という年齢に関係なく発症し、突然死の原因にもなる怖い心臓病です。

この病気に私が気付いたのは今から20年以上前のことで、動物園からの依頼でミーアが突然死することがあり、診断を依頼されたことがきっかけでした。健診時の一頭に拡張型心筋症の子が見つかったのです。

その後の調査により、死亡個体の病理解剖などで複数頭が確定診断され、ミーアにこの病気が発症することが分かり学会で発表いたしました。

なぜミーアにこの病気が起こるのか?近親の血縁によるものか?猫と同様にアミノ酸の欠乏が関係しているのか?人でも起こるこの病気の原因はまだわかっていません。

●文献紹介

2024年の「The Journal of Zoo and Wildlife Medicine 2024 Mar;55(1):155-163.」  アメリカの動物園でのミーアの拡張型心筋症の追試結果が掲載されています。以下に、要約和訳文章を掲載します。

 ミーアキャット(SURICATA SURICATTA)における拡張型心筋症

Kadie M Anderson 1Katie Nadolny 2Natalie D Mylniczenko 3Amara H Estrada 4Lindsey E Bissett 4Ashley E Jones

要約

米国の2つの米国認定動物学機関にて飼育されているミーアキャット(Suricata suricatta)は、心エコー検査、胸部X線撮影、および血液バイオマーカー(タウリンおよび猫のN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド)によって評価され、それぞれの機関の集団における拡張型心筋症(DCM)の有病率と重症度が判定された。合計で 24 匹のミーアキャットが評価され、7 匹が次のパラメーターに基づいて DCM と診断された: 拡張末期の左心室内径 > 1.30 cm、収縮末期の左心室内径 > 1.10 cm、および <18% の短縮。心エコーパラメータは、正常なミーアキャットと異常のあるミーアキャットについて評価され確定されたが、胸部X線写真ではDCMのスクリーニングには役に立たなかった。DCM のミーアキャットは、必要に応じてピモベンダンおよび/またはベナゼプリルおよびフロセミドで治療された。この研究期間中に7匹のミーアキャットが死亡し、解剖によりその大部分は心筋線維症を示した。検査された血液パラメーターのうち、タウリンレベルの上昇はDCMと関連していた。ミーアキャットにおけるDCMの病因を特徴付けるには、さらなる研究が必要である。

この報告では、タウリンについて記載されていますが、タウリンが欠乏しているとDCMになる可能性があることは以前から示唆されています。 

国立研究開発法人科学技術振興機構の報告では、ヒトでの研究で、

DCMタウリンは心筋の機能保持に重要な役割を果たしており、タウリン欠乏が心筋症を引き起こすと思われる。タウリンの血漿濃度と心機能の関係が研究されており、タウリンが心機能や病状の進展を反映するバイオマーカーとなる可能性が示唆されてい。 

タウリンに注目するほかのヒトの研究で、DCM確定患者と健常者で比較を行った研究があり結果は、平均 血漿タウリン濃度は両群間で有意な差は認められず (mean±SD)(65.3±21.0 nmol/ml vs 68.6±21.0 nmol/ml; p=0.57)、BNP および ANPとの相関も認められなかった。 このことから、心機能や心負荷により血漿タウリン濃度は大きくは変動しないと考えられた。

ヒトのDCM患者の心機能が保たれている症例(EF>30%)と、機能低下症例との比較を行ったところ、有意に血漿タウリン濃度が低値であった(56.8±21.1 nmol/ml vs 71.1±19.0 nmol/ml; p=0.0068)と報告するデータがある。(医学タウリン研究誌)

ミーアの場合、猫同様にヒトとは異なるメカニズムがあるかもしれません。タウリンは肉や魚に多く含まれる成分であり、正しいエサを与えられていればタウリンが欠乏することはないはずです。肉食のミーアに誤って草食系、果物、甘味のフードを与えているときや、人工飼料中のタウリン不足が疑われる場合にはこの病気にかかる可能性があると、現時点では飼い主さんにご注意をいたします。

〇 ミーアの健康診断メニュー

・視診、聴診、触診。身体測定。目の検査。爪切り。尿検査。便検査。

心電図検査。エコー検査。レントゲン検査。血液一般・生化学検査。

心臓に関係する特殊血液検査。

料金  固定料金ではなく個々の通常検査料の合算となります。

詳細は随時お尋ねください。

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