これまでブログでさまざまなカメレオンをご紹介してきましたが、カメレオン好きの私は、調べれば調べるほどに興味が尽きません。
数年前、マダガスカルで「親指ほどの小ささのカメレオンが発見された」というニュースがありました。 それを知って以来、私は「いつかこの目でその姿を見てみたい」と願い続けてきました。 今回の調査の最大の目的は、まさに彼らに出会うこと。何としても見つけたい、見つけるまでは帰らない…… それほどの強い思いで現地へ向かいました。
そして、その夢がついに叶いました! まずは小型カメレオンシリーズをご覧ください。
■ サビヒメカメレオン(Leaf Chameleon)

しっぽまで入れても人差し指くらいしかありません。頭頂部に突起があり、後背部から尾に向かって葉脈のような筋状のラインと、葉のように見える構造を持っています。地表にいることも多く、落ち葉に擬態しているのでしょう。広いジャングルの中で、見事に擬態した彼らを自力で見つけるのは至難の業。今回は熟練のガイドさんが見つけてくれました。
■ エダハヒメカメレオン

頭部の先端がVサインのようになっているのが特徴的です。体表の模様といい、木の樹皮にそっくり!500mlのペットボトルと比較すると、その驚きの小ささがよく分かります。 ヒメカメレオン類は雌雄の外見上の差が少なく判別が難しいと言われています。ひっくり返して尾の付け根の膨らみを確認するのですが、今回は直接触れるのを避けるため実施していません。
■ ウラボシヒメカメレオン

マダガスカル東部で撮影した小型のカメレオンです。背中に棘(とげ)があり、体色は濃いめのグレーが基調。ヒメカメレオンの仲間は地味な色合いが多く、枝や枯葉に見事に擬態しています。
■ ハナナガカメレオン

ヒメカメレオンの仲間ではありませんが、尾を含めても体長10cmに満たない小型種です。低木の葉の上にいることが多いため、体色は鮮やかな緑色系をしています。この種は近年多くの新種が見つかっており、学名や分類が新旧入り混じっていますが、ここでは大まかに「ハナナガカメレオン」としておきます。
■ ノシベヒメカメレオン(Brookesia minima) 撮影場所 Lokobe Strict

ついに、最小のカメレオンと出会うことができました(見つけてくれたのはガイドさんですが、笑)。 写真に写っている爪はガイドさんのものです。よく見ると頭部に突起があり、背の稜(りょう)が二つに分かれているように見えます。両目が左右別々に動いている様子からも、間違いなくカメレオンです。 この個体は頭から尾までわずか15mmほどという極小サイズ!ここ10数年の間にも数種の極小カメレオンが発見されており、ギネスブック(2021年)では「ナノカメレオン」が頭胴長(頭から排泄腔まで)14mmで世界最小と記録されています。今回出会った個体が幼体か成体かは不明ですが、頭胴長はなんと10mmしかありませんでした。
これほど感動的な小ささでありながら、普通サイズのカメレオンと同様に、長い舌を使って獲物を捕獲し、 体色を変え、左右の眼を自由に動かします。こんなに小さな体でどうやって生き抜いてきたのでしょうか。 彼らの寿命はわずか1年ほどしかありません。今こうして生き残ってくれていることに、ただただ感謝です。 ついに念願の野生の極小カメレオンに会うことができました。
毒などの防御手段も持たないため、多くの捕食者に狙われるはずですが、一体なぜこのような進化を遂げたのでしょうか。
私なりに考察してみると、ノシベヒメカメレオンが生息するのがマダガスカル本島から離れた離島であり、特殊に隔離された環境だったことが大きく関係していると考えています。
生物が進化する目的は「繁殖」「生存」「エサの獲得」などです。それを基に、体を極小化することで得られる利点を考えると、以下のような仮説が浮かび上がります。
- 年中エサが豊富: 熱帯のジャングルには、彼らの主食となる微小な生物が年中あふれている。
- 捕食者が少ない: 隔離された島には大きな肉食動物が少なく、天敵の絶対数が少ない。
- 省エネ設計: 体が小さいため、多くのエネルギー(食事量)を必要としない。
- 隠れやすさ: 小さいことで天敵に見つかりにくい。
- 高い繁殖サイクル: 急速に成長して性成熟するため、短期間で確実に子孫を残せる。
これらは、「大きくなって強くなること」や「一度にたくさんの子孫を残すこと」とは異なる、『極小化によって生存競争に勝つ』という独自の戦略に成功した見事な例だと言えます。
そんな神秘に満ちた、珍しいカメレオンの動画もぜひご覧ください!
おまけ カメレオンセンターで給餌する実際の動画
パーソンカメレオンの給餌