皆さん、お料理のスープにはいろいろな種類がありますが、チキンスープはお好きですか?
三年前、私の友人のアメリカ人獣医師が、チキンスープという題名の本を出版し、 プレゼントしてくれました。
以前からこの「チキンスープ」という英語に特別の意味があるのがわからず、私の頭の中で、その言葉はなぞでした。
しかし、その本で意味がようやくわかりました。
果たしてチキンスープというのは、われわれが口に入れるお料理ではなかったのです。
料理のチキンスープは鶏がらからとったダシが命ですね。
肉をはずした鶏がらを長い時間をかけて煮込み、最後の一片の肉が外れてもまだ骨のずいからおいしいエキスが出てきます。
実にシンプルでかつ、他にたとえられない味です。
この本を読んでぱっと私のなぞは解けました。
それは、チキンスープの命のダシとは動物を飼っている飼い主さんの、その子に対する愛情だというのです。
飼い主さんの心とは 鶏がらのように、「煮込んでも煮込んでも味が出てくるよ、最後の骨になってもまだまだダシがずいからにじみ出て来て決して尽きることはないのだよ、それほど飼い主の愛情とは深くて味のあるものなのだ」ということだったのです。
なんとすてきな表現でしょう!
雪の日も雨の日も飼い猫のためにずぶぬれになっても来院される飼い主さん。
自分が万 一、病気になったときのために、犬名義の定期預金を作っているおばあさん。
腰の悪い犬のためにわざわざ平屋の家を建て住んでいる家族。
みーんな自分のことをそっちのけで動 物のために良いようにしているのです。
そして動物たちが飼い主に見せるあの良い笑顔! それが動物たちから飼い主さんへの最高の贈り物なのですね。
あのつぶらな瞳(ひとみ)はあなたに飼われて良かったと語っていることでしょう。
どうです、みなさんはどんなチキンスープでいらっしゃいますか?
(斉藤聡=札幌・石山通り動物病院院長)
2001/09/05(水) 北海道新聞夕刊 掲載
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